楽譜の中にしれっといるト音記号とヘ音記号ですが、意外とその形の由来を知っている人は多くないようです。

そもそも…
この記号は「音部記号」と呼ばれており、五線と音の高さをリンクさせるための記号です。
つまり、音部記号が書かれていない楽譜を演奏することは不可能です(が、初心者ほど下のような楽譜を演奏することができます)。

音部記号が書かれていない楽譜は、残念ながらどうしようもできません。
ト音、ヘ音とは?
僕たちが普段使っているドレミファソラシ、というのはイタリア語で、日本語や英語では違う言い方になります。

つまり、ト音というのはイタリア語で「ソ」のことです。
ト音記号というのは「ソ」の音の記号ということになりますから、この記号はソを示しています。
うずまきの端っこがある線上、下の全音符がソの高さです。

同じようにヘ音記号は「ファ」の音の記号ということになりますから、この記号はファを示しています。
大きな丸がある線上、下の全音符がファの高さです。

形の由来
上の対応表を見たときに、ト音はGと、へ音はFとそれぞれ対応しています。
下の画像は小学校の授業中に板書したものですが、これを見てもらうと分かるかもしれません。

ト音記号のぐるぐるがGの形に似ていたり、ヘ音記号の点々がFの横棒と似ていたりすると思います。
ちなみに、ト音記号の方は大文字と小文字のGが組み合わさって図案化されていると、僕の作曲の先生から聞いたことがあります。
(6/1更新)音部記号についての英語版Wikiを見に行ったところ、なかなか面白い画像を発見しました。

初期のト音記号のようなんですが、この画像の真ん中にある記号がDとGが縦に重なっているもののようです。
今のト音記号の交差している部分がDの音を示しているので、DとGが重なっている説はかなり濃厚なのかもしれません。
おまけ
音部記号はきれいに書いた方が親切ですが、何となく存在していれば「この高さで演奏してほしいんだろう」と汲み取ってもらえます。
作曲家の自筆譜を見てみると、急いでいるのか面倒なのか、かなり色々な音部記号に出会うことができます。
バッハ(Herz und Mund und Tat und Leben)

書き方が&っぽいですね。
ベートーベン(Symphony No.9 4th movement)

僕の髪の毛のようにツイストした、逆Sみたいなのが書かれています。
ドビュッシー(La Mer 2.Jeux de vagues)

縦棒がピシッと真っ直ぐになっています。綺麗ですね。
おまけ
このページを見てくださっている方が多いのか、何とこのページがGoogleのあの部分に表示されているようです。ありがとうございます。
